世の中に不満があるなら自分を変えろ

今回はアニメの話。
(かなり前の作品ですが、自分ではそのうち語りたいと思ってましたので今回書きます)

タイトルの言葉はご存知だろうか?
マニアックですが、アニメ「攻殻機動隊SAC」の最初の口上。

そもそもの映画「攻殻機動隊」こそが日本アニメを世界に知らしめた
押井守監督によるジャパニメーション第1号なわけですが、
かの押井守氏率いる制作集団がプロダクションI.G.。
(上場の後、持株会社化し、現在の上場銘柄としては「IGポート」。)
その押井学校の級長ともいえる神山健治氏が手がけた作品が「攻殻機動隊SAC」。
同タイトルの劇場版やら続編やら色々あるのではあるが、今となっては上記タイトルの
TVシリーズが同作品群のコア中のコアになってるので是非ご覧あれ。(奥山オススメ)

で、今回はその作品を語りたいのだが、先に少し余談。
なんとその心意気に惚れすぎて東京は三鷹の本社に押しかけたことがあります!
ビジネスの打ち合わせも数度し、もう少しで一緒に仕事ができる、、、
実現はしませんでしたが、チャンスがあればと、実はまだ狙ってたりして。
一度きりの人生ですから、仕事するなら、おもしろくないとね(笑)

でまぁ、ネタバレをお許しいただきたいが、
その「攻殻機動隊SAC」というTV シリーズの底流に置かれた素地が
いきなりアメリカの古典にジャンプしますが、
JDサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」。
読んだことありますか?

一緒にしちゃうと怒られるかもですがフィッツジェラルドの「華麗なるギャツビー」と並び、
イノセント(無垢)なるアメリカをよく描いている文学作品だと思うのです。
(金融的にはギャツビーの方かもしれないですが、今日は「ライ麦〜」で。どちらも読みきるの難しいですが。。。)

そもそも「ライ麦〜」は、主人公ホールデン・コールフィールド少年が普段の自分の周りのいろんなものがインチキ、偽物に見えたり、逆に普段の些細なことをすごいと思ったり、群衆(集団)の中のコンセンサスではなく、個人の目線での感じたことや意見を素直に発露していく。かの少年は勉強もあまり出来ず、スポーツやケンカも苦手なパッとしない少年なのですが、少年なりに一生懸命にいろんなことを考えている。
日常の欺瞞に満ちた大人を批判し、形式的に動く社会を嫌悪し揶揄する、イノセントな若者が表現されています。
自分の周囲のおかしいことに素直に疑問を投げかけ、些細なことに感動する、個としての批判的精神や個へのリスペクトや、改善されず惰性で動く社会、大人同士の嘘や自己都合が渦巻く社会へ嫌悪、が内容的に評価されての名作、というところでしょうか。
(怒られそうだけど、日本で言えば、内面描写で言えば夏目漱石の「こころ」系?いや無垢なる若者が主人公の太宰というべきか。)

攻殻機動隊SAC(以下、作品)はTVシリーズを通して、神山氏が影響を受けた
この「ライ麦〜」を踏まえ、その思想の行き着く先を問うている作品です。
(もうSFじゃない?いやいや。アニメも奥が深い。。。)

作品内にて「ライ麦〜」の主人公の少年の、
周囲の欺瞞に嫌気がさしての言葉がまず引用されているのですが、

I thought what i’d do was.
I’d pretend I was one of those deaf-mutes.
(僕は目を耳を閉じ、口もつぐんだ人間のふりをしようと思ったんだ)

作品ではオリジナルに中段で上記文章に
「 or shoud I?(いや、そうしない(声を出した)方がいいのか)」
という部分がライ麦の引用句に付け加えられました。自分への問いかけです。

また冒頭に戻ると上記の言葉への答えを醸して、

「世の中に不満があるなら自分を変えろ。
それが嫌なら耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。」

の口上から話が始まるのです。

イノセントなまま何も聞かず見ず、自分の声を出しもしないまま社会で生きていけるかと
いうと言うまでもなくそれは不可能で、結果としてライ麦の少年の問いかけは、
「自分を変えなさい」
に着地せざるを得ないわけです。

作品では人間が孤独であることを恐れるがあまり他者に迎合しようとすることをネットが加速させ、一種の集団パニックや集団ヒステリー、自己の意見であるかのような他者からのサブリミナル(偽物たちによる本質のズレた情報・状況の拡散)となることをメインストーリーにしており、とても考えるところの深い作品です。

また作品内に、投資取引を主人亡きあとも機械が実行し続けるエピソードもあるので
ご興味のある方はぜひご覧あれ。

うん。自分から変わろう。

(2021/10/27 奥山記)

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2件のコメント

  1. アニメ観ました

    「世の中に不満があるなら自分を変えろ。
    それが嫌なら耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。」

    同感です。

    自分も 居酒屋で愚痴るより、ホテルのラウンジバーで将来を語る を心がけています。

  2. 適者生存というのが自然界の理ですが、
    これは人間社会にも言えますね。
    投資は弱肉強食の世界と思いますが、個人投資家が生き残るには
    どのような術があるのか、今後も奥山先生に教えていただきたく思います。
    ガソリン税や古いクルマへの重課税など納得いかないことはありますが、
    自分が適応していくしか無いですね、、、さもなくば自分を変えて間接的に
    もしくは直接的に審議に参加するか

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