強い「円」を望む。

なんだか、どこまでも円安が進んでいく、ように見える。
地獄の釜の蓋が開いたように?青天井のように?
外国為替なので、天地がないので、どう表現するかは微妙だが、
ともかくドル高、円安が進行している。

財務省の24年ぶりの円買い介入(2兆8000億円の支出らしいが、、、一概に相場の損としてではないだろう)も虚しく、
ドル円レートは再び145円に迫るところまで戻り、その先を伺うのか頭打ちなのか、様子見の数日が続いている。
8月に小職監修の「ソロスの投資術」を出版したが、ソロス氏がポンドでイギリス中央銀行を打ち負かしたといわれる過去の教訓には現在の状況は大いに学ぶところがあると思うのである。
歴史は繰り返すというか、人間は変わらないというか、
やはり中央銀行とて価格操作は難しいというか。(個人投資家が大いに振り回されるくらいの価格操作は当然普通に可能だし、もっと本気になれば10円20円円高に、、、なんてことは可能だと思うのだが、それにしても、その価格や傾向の持続力という意味ではやはりマーケットの人気のベクトルが変わらないことには中央銀行とて隅田川に戸板なのだとしみじみ思う。)
そもそも最近の講義の時はいつも話しているが、
日米の金利差が3%開いたからといってそれを理由にドル円レートが3割変わってしまうのが実体なのだファンダメンタルなのだ合理的なのだ当然なのだ、なんてわけないだろうが。
「まだまだ金利差が開く、なのでまだまだドル円の価格差は進行する、という見立て」が市場を支配しているだけなのである。
とても危うい幻想なのだが、相場は相場であって、人気であり、勢いであり、傾向であり、でしかない。
ここまで急激に進まれるとプロアマ問わず、逆張りで円高の方に、というのも怖くでなかなか手が出せないのである。普通に考えたら「ドル高についていくしかない」と思ってしまう足元である。
お国は、なんでこんな風になってしまうまで放置したんだという想いである。

そんな話はともかく、ドル高、円安が進行している。

なぜ円高にしないのだろう?
自国通貨が強いということは自分の国が強いということではないか。
円高をもっとみんな望まないといけないし歓迎するべきだと思うのである。

ざっくり日本円はドルと比較して、2012年の1ドル80円だったところから見ると、
大袈裟にいうが半分の価値になってしまっている。

食料自給率38%の日本なのだから当然6割の食料は海外からの輸入であり、
エネルギー自給率は10%。ほとんどが海外からの調達である。

円の価値が半分になってしまったらどうなるのか?
いうまでもなくそれだけで、
日本国内の多くの食糧の価格は2倍になり、エネルギー代金も2倍になる。これにさらに世界的なエネルギー価格の高騰や小麦価格等の高騰が追い討ちをかけているわけだ。

ちなみに円の価値が半分になっているので、世界基準(ドル建て)で見た時には
日本の国民資産も国家資産も、国家予算も「半減」しているわけだ。
海外への開発援助だって円貨で同額拠出していても海外から見れば半減していることに。
個人が海外旅行に行くには2倍の出費を覚悟しなければならなくなった。
(その意味でウクライナロシア問題だけではなく、日本人にとって世界はとても遠くなってしまった。。。)

どうして円を強くしようとしないのだろう。
国が栄えれば、国家の価値が上がり、当然通貨は高くなる。

ここまでの話を逆の言い方をするなら、
円の価値が2倍になれば(再び1ドル80円になれば)、

食料品の価格は半額になる。
エネルギー代も半額にある。
国民の財産も世界基準(ドル建て)で2倍になる。
海外への投資や援助も同額の拠出で2倍のありがたみが出る。
国家予算も同額であったとしても(世界的に見れば)2倍の価値が出る。
防衛費だってそうだ。どうぜ海外から戦闘機買うのなら半額で戦闘機を購入できる方が良いに決まっている。
日本が強くなっていく(経済が強くなっていく、円の価値が上がる、円高になる)と思わなければ外国人の日本への投資も当然進まない。
どんどん価値の目減りしていく資産への投資なんて出来ないし、
むしろ様子見はおろか損きりしようということになる。
(ここ半年、特に最近の株安はこの要素が強いと自分は思う。ドル評価で有価証券が3割値下がりしているのだ。株価も下がっていて、外国から相対的に見るなら半額の価値以下に。バーゲンセールとも言えるのだが、それ以上に今後の値下がりが怖いから一時撤退!リスクオフ!な外国人投資家、なわけだ。)

「円が安い」ということは、国家も、国民も「ど貧乏になっていってる」ということなのだ。

観光業の外国人インバウンド流入の推進のためだけに、
国民資産が半分、物価が2倍になって、国家予算の価値が半分になってしまっては困るのである。(むしろ海外にじゃんじゃん遊びに行けるくらいの力が必要なのだ。外国人の爆買いをアテにしているようでは乞食同然。。。。)

国債の利払い額を懸念してのゼロ金利、金融緩和継続では困るのであえる。
景気を良くするための金融緩和を金科玉条に「国家や国民がど貧乏になっていく」オペレーションは間違っている。

国家の価値は高まらないといけないのだ。
バラまいているだけ、支えているだけでは亡国への道だ。
安易なディスカウントストア戦略の先には破綻しかない。付加価値戦略でなければいけないのだ。
溶けるカネと未来に活かすカネは同じ支出でも全然違う。

日本国民として思う。
強い円高を、強く、望む。

日本国民よ、ドル上がってシュン!であれ。(笑)

(2022/10/3 奥山記)

 

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1件のコメント

  1. 本当にわざと日本国弱体化を狙ってるんじゃないかと感じます。
    先日の為替介入もやるやる詐欺と思われないためのアリバイ作りでは?と思ったりします。
    円安で、海外資産からの収益増加を狙ってたり、105兆円とも言われるタンス預金を出させて運用や課税に繋げたいとか。2024に新紙幣も発行されますし。
    内容からは少し外れますが、出させたタンス預金でNISAや投資信託への流入を狙ってるのだすすれば、どうして商品が海外ファンドや企業、指数がこんなに多いのだ、しかもこの円安で、アメリカはリセッション。金融庁のお墨付き商品とのことでしたが、僕らが買い支える様に思えて気持ち悪かったです。
    本当、行政とか政治は大丈夫か?って思います。

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